記憶の向こう側
ここで、これまで何も言わずに話だけ聞いていた島川先生が、ゆっくり口を開いた。
「これで君とも最後かな。もうここには戻ってこないように。ここは不健康な人が集まる場所だからね。」
島川先生は、どこか安心した様子だった。
「島川先生、長い間本当にありがとうございました!」
私は島川先生に、ベッドの上からだけど深く頭を下げた。
そしてケガが完治して、退院の日を迎えた。
病院の玄関に、勇樹と梓さん、島川先生が見送りに来てくれた。
敬太はこれから家に一緒に帰るから、荷物持ち。