記憶の向こう側
一人になった部屋。
私は、寝かせられていた身体を少し起こして、ちゃんと周りを見渡してみた。
これといって何も無い、真っ白な部屋。
小さな窓があって、ベッドの高さほどの棚と、その上にテレビ…
そして、私のベッドの横にはパイプ椅子が折り畳んで置いてある。
どうやらここは、本当に病院の入院患者の個室みたい。
そして改めて色々思い出そうとしたものの、頭の中に自分に関する記憶が全く無くて、私は本気で焦った。