いただきます。

「・・・・・雷神の黒獅子」

雷神の黒獅子?

「俺の話聞いてんのか?退かねーのか?」

「・・・嫌ッ。えっとすみません。」

男は逃げて行った。

それにしても凄く迫力のある人だ。

「お前もどけ。」
「こら。ダメですよ。女の子には優しくしないと。」

・・・・?
また誰か現れた?

「怪我は無いですか?」

『大丈夫です。』

「良かったです。女の子がこんな時間に歩き回ると危ないですよ?」

こんな時間?

わっ∑∑20時過ぎてる!!
(動揺してるが一切無表情。)

『本当にすみません。大変ご迷惑をお掛けしました。』

あっあの人にお礼しないと。

『危ない所を助けて頂きありがとうございました。・・・えっと?』

「なんだ?」

『お名前うかがっても良いですか?』

「・・・翔」

『・・・翔さん。翔さんありがとうございました。お礼と出来るような物じゃありませんが。』

私は彼の手にミルク飴を2つ握らせた。

『でわ。失礼します』

「・・・・お前の名前わ?」

『えっ?』

「・・・・名前。」


そうだ。失礼だよな言わないと。

この時の私はおかしかったのか?
いつもなら絶対に口にしないのに。
でも、彼には嘘が付けない。
そういう目をしていた。

『・・・しゃッしゃがんで頂いていいですか?』

翔さんは額にシワを寄せながらも、私の前にしゃがんでくれた。
さっき道で邪魔だと言ってたのにと思うと楽しい。

『私・・・と申します。』

「聞こえねー」

『私は愛子と申します。』

「聞こえた。」





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