squall
この10年。
まったく、佐野との接点がなくて。

まだ地元(ココ)にいるのか。
いないのか。
それすらもわからなくて。

会いたい、とか、思ったことはそんなになかったけど。

こんな時にこんなふうに。
佐野と一番近い人と出会って…。


「…似てる?」
「えっ?」
「悠真と」
「っ!」


ドキッとした。

やっぱり。


―見透かされてた!?


けど。
ここで動揺しちゃいけないことだけは、充分すぎる程わかっていた。


「佐野…クン、ですか?中学卒業してから、会ってないから。顔もそんなにはっきり覚えてなくて…」
「そうなんだ」
「はい」


ここは。
平然としてなきゃいけない。

< 126 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop