squall
「最初は。途切れ途切れで。それが名前だって、わからなかった」


式場を予約する直前。
惣一の隣。

私は記憶を、フル回転させる。

幸せ、絶頂の中。
佐野の夢なんて、


―見た!?


「けど、それが名前だってわかった時。男のだって、直感して。浮かんできたのは、後輩の佐野だった」
「…佐野、サン…?」


夢を見て、涙を流しながらつぶやく名前なんて。
同性のわけがないけど。


「さすがに。俺も、単純すぎるだろって思ったけど。佐野なんて、そんなに珍しい名字でもないし。でも。俺はアイツの実家も知ってたし。萌の実家と近いな…って。どうしても、それを拭いきれなかった」


直感って、そんなものなんだろう。


「……………」


意外と、よく当たる…。

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