squall
「行こう」


どこに行くのか。


「…ん…」


せっかくのチャンス…って言うと、ちょっと違うかもしれないけど。

私もちゃんと、佐野と話したくて。

この際、ちゃんと。
伝えてしまいたくて…。


―どきん…


佐野に手を引かれるまま。


「……………」


私は佐野と一緒に、歩いた。

成りゆきとはいえ。
佐野と手を繋いで歩きながら、この手のひらから。


―どきん、どきん…


この鼓動が、伝わってしまうんじゃないかっていうくらい。
私はドキドキしていた。

今どき、中学生でも。
手を繋いだくらいで、こんなにドキドキしないのかもしれない。
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