squall
私が恋愛してきたように。
あれから10年。
考えてみれば、佐野もいつまでも恋愛にうといままなはずもなく。

手を繋ぐことなんて、きっと。

何でもないことなんだろう。

さらっと、私を忘れたことなんてない、言えちゃうように…。

そのおかげで。
私は今、横にいられてるんだけど。

でも。


「………………」
「………………」


車に乗ってから、口数はかなり減った。


やっぱり。
佐野も、なにげにドキドキしてくれてるのかもしれない。

…なんて。
チラッと、横目でその表情を確認してみる。

けど…。

私は佐野を、よく知ってるわけじゃない。

さっぱりその表情を読めなかった。

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