squall
「降りてみる?」
「歩けるの?」
「真っ暗…って感じでもないから。今日は月も出てるし。すぐ目も慣れるよ」
「…ん」


ここに来たのは初めてじゃないけど。

夜の砂浜。


「あっ。あんまり波打ち際いくと、見えなくて濡れるから」
「えっ?」
「こっち側、歩いて」
「あ、うん…」


やっぱり昼間とは、全然違っていて。

こんなふうに、女の子扱いされるのは、何だか気恥ずかしい気もした。

“佐野”に。
そう扱われることが…。

佐野にとって。
私はちゃんと、

【女】

なんだって…。

< 232 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop