squall
あの頃。
私は、佐野に振り向いて欲しいという気持ち以上に。

私のことを、


―知ってほしい


思っていた。

あんなに好きだったのに。
覚えてもらうことすら出来ないなんて、切なすぎて。

だから私は。
忘れられるはず、と、理由をつけて。
卒業式の日。
告白しなかったんじゃない。

できなかった。

だから。
あのサイトで佐野をみつけて、覚えてないって返事がきた時。
ショックな反面。


―告白しなくて良かった…


どこかで、ホッとした自分もいた。

告白しなかったからと言って。
失恋と、なんら変わりはないのに…。


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