squall
「ずっと、わからなかった。この気持ちが何なのか。どうしてこんなに、気になるのか…。でも。佐野が気づかせてくれた。佐野も、同じだよね…?」


佐野は、そう口にした私に目を細めて苦笑すると、


―ギュッ…


またその腕に力を込めて。


「……………ん」


静かに頷いた。


「……………ん」


そして。
また、私も……。


―とくん、とくん…


佐野の鼓動と、波の音。
佐野の大きな手と、佐野のぬくもり…。


「佐野……」
「……ん?」


私は最後になるだろう、佐野の名前を呼んで。

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