squall
佳世は、中学の時の同級生。
っていうか。
中学からの親友で。


「やっ。そうじゃなきゃ望月サン、かわいそうだから」


望月サン。
こと。
望月 惣一(モチヅキ ソウイチ)。


「だよね…」


それは、私の彼の名前。


「けど。何気に高校入ってからも引きずってたしね…。萌(モエ)の中では特別なんだろうけどね」
「特別……」
「ってか。萌、ヤバイ。早くしないと!」
「えっ?あ、ほんとだ」
「望月サンには黙っときなよ。昔とはいえ。好きだった男の夢なんて、いい気しないからね」
「や…。言わないし」
「そうそう。それが賢明。結婚も決まってるんだし」


佳世の言った通り。
先月、結納も済ませて。


「ほら。行くよ~」
「はーい…」


私は惣一と、来年、結婚する。

そう、多分。
こんなに落ち込むのは、幸せなところにあんな夢を見たせいで。

仕事中も、ふと思い出して。


―はぁ~…


ため息が出たりはしたけど。
私は然程、気にすることもなく。


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