squall
この時。
少しでもショックを受けてたら、


“一歩前進”


少し、違っていたのかもしれない。


「あー…、萌って、呼んでい?」
「えっ?あぁ、うん。もちろん」


確かに彼はいい人で。


「じゃあ、萌」
「…ん」


優しかったし。
浮気も(笑)しなかった。

でも。


―大事にされてるなぁ~…


とは。
1年くらいつき合ったけど、感じたことはなかった。

最後の方は、会えばヤるばかりで。
私も私で、つき合うってそんなものなのかなぁ、思ってしまって。

別に好きな相手じゃなくても、


―…できちゃうんだ


って…。

1年経っても、やっぱり私の中には佐野がいたし。
結局、彼をちゃんと好きになれないまま。

その彼とは別れた。

始まりが簡単な恋は、終わりも簡単で。


「萌…。俺のこと、少しでも好きだった…?」
「……ん」
「…そっか…」


それでも彼なりに。
私を想ってはいてくれたのかもしれない。


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