squall
佐野が、同じ空間にいる。


不意討ち、だったせいだと思う。


―ドキドキドキドキ…


私の鼓動は、あり得ないくらいの速さで鳴り始めて。


「…萌?大丈夫…?」


【学校】という、同じ空間でいつも佐野と過ごしてはいるものの。

顔をあげれば、すぐそこにいる。

そんな状況は、私にとってかなりの非常事態。


「…………うん」


大きく深呼吸して。
とりあえず、佳世に頷いて見せる。

でも…。


「あっ、佐野。それ貸して」
「おぉ」


かなり、尋常じゃない状態なのに。


―…佐野の声


しっかり、そういう情報は入ってくる。


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