squall
もし、佳世に言われたように、何でもいい。
きっかけを作って話してたら。

今、


「あれ~?佐野も居残り?」
「おぉ。廣橋も?」
「ううん。私は佳世のつき合い」
「そうなんだ。だったら俺の手伝うとか」
「え~。見返りありならやるけど」


なんて。
顔見知り程度に、会話できてたかもしれない。

ただこんなふうに。
気づいてももらえないまま、ジーーっと見てるだけじゃなくて…。

絵を仕上げるのに、夢中になってるのも分かるけど。
こんなに。
かなり凝視してるのに、全く気づきもしない佐野。


「……………」


切ない、通り越して、何だかイラッとしてきて。

これも。
私のかわいくない所なんだろう。

さっきまでのドキドキは?

って感じで。

その時。


「あれ?」


佐野がポスカラを探りながら。
声をもらした。

そして。


「セロリアンブルー、無い」


キョロキョロと、探し出した。


“セロリアンブルー?”


それ言うなら、


「セルリアンブルーじゃん」


思ったのと同時に。


―ドキッ…


佐野と、目が合った。


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