squall
その後も。


「手、つなご」
「オヤジでよければ」


根に持ってない、言いつつ、ちょいちょい惣一は【オヤジ】を口にしていて。


「…わざとでしょ」
「ん?」


でも。


「オヤジ、連発してるの」
「あ…。バレてた?」


帰り道。
酔いざましに、ひと駅分歩きながら佳世の紹介の話をしている惣一に不機嫌さはなく。


「ちょっと酔ってる?」
「んー。かも」


まぁ、めったに不機嫌なんてないんだけど。


「っつーか。萌こそ。最後の1個。まだ根に持ってる?」
「えっ?持ってないし!だったら、手なんてつながない」
「だよな」
「そうだよ」


お互い。
顔を合わせて、ニッと笑う。


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