squall
その時。


「萌。大丈夫?」


ドア越し。
ノックの音と共に、佳世の声がして。

そこで、


「あ、うん。大丈夫」


私はハッと、目を開けた。


「ほんとに?」
「うん。いま行く」
「話は後で聞くから。とりあえず、フツーの顔で戻っておいでね」
「…ん。わかった…」


私はもう一度目を閉じて、


―ふぅー…


大きく息を吐くと。


目を開けて、


「…大丈夫」


鏡に映る、自分にそう言い聞かせて。

みんなの元へ戻った。


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