squall
佳世にも、佐野サンのことがある手前、なんとなく、そのことは言えなくて…。


「どうだった、佐野サン?」
「一応、連絡先は交換したよ。なんか、しばらく残業続きになるってメールきてたけど」
「そうそう。続くらしいよ」
「えっ?」
「惣一も残業だって」
「あ、ほんと、なんだ…」


多分、この感じからして。


「ほんとって?」
「や…。ずらすための、常套手段かなぁ~、なんて」


佳世もまんざらではないようで。


「落ち着いたら、連絡くるんじゃない?」
「うーん…」


私が佐野のことを話せば、私に変な気を遣ってしまうだろう、思った。


< 96 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop