甘い罠
高校の同級生だった碧から電話がきたのは、つい5日ほど前だった

「久しぶり~、元気?


らしくないような、定番過ぎる碧の第一声に、瑠璃は少し違和感を感じた

久しぶりといっても、そうでもなかった
碧とは、他の同級生も交えて時折会っている

碧と瑠璃は、学生時代、同じグループにいたが、2人は特別仲がいいというわけではなかった

2人だけで遊んだりすることもこれまで1度もなかった
瑠璃は、どちらかというと碧が苦手だった


学生時代、碧はクラスでも目立つ存在だった
綺麗な顔立ちで、スタイルもいい
勉強や運動もそつなくこなす

かといって優等生タイプではなく、流行に敏感で、お洒落な服を着こなす碧は、「可愛い」ことに一番の価値を置く年代の私達からすると、一目置かれる存在だったのだ

瑠璃も、そんな碧を羨望の眼差しで見つめていた1人だった

そして碧は、そんな立場の自分をよく自覚していた
だからといって傲慢な態度をとるでもない
碧は賢い女だった


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