甘い罠
「あ、こないだ…
あれから大丈夫でした?

頭、痛そうだったから」


「あぁ、あの日は参ったよ(笑)
帰ってから冷やしたりしてさ

ま、懲りずに今も飲んでるんだけど(笑)」

木村は部屋で飲んでいるようだった

こないだ飲んだ時の話や、木村がどこに住んでいるかなど、他愛のない話をしばらくしていた

「明日は休みなの?」という木村の問い掛けに、再び瑠璃の心臓が跳ね上がる

ドライブに行かないかと木村は誘ってきた

ドライブ…
デートの定番のようで、なんだかくすぐったくなるような響きだ

瑠璃は飛び上がりたい気持ちを抑え、「大丈夫ですよ」と答えた

木村は外見も悪くないし、いい会社にも勤めている

モテそうだが、あまり女性慣れしていない感じが瑠璃はしていた

きっとこれまで、仕事に明け暮れていたのではないか


瑠璃は自分のいいように解釈し、これから素晴らしい日々が待っているような気分に酔いしれていた




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