この窓を飛び越えて…
目があった瞬間に、ニヤリと笑みを浮かべられてますます嫌な気分だ。
涙腺が緩み初めて、窓を開けるために手をかけたときだった。
「千ちゃん、俺が実行委員やるよ!」
「…え…」
自信満々に手を上げたのは紛れもなく隣の席の人。
ピンと伸ばしたその手を見た千田先生は笑顔になった。
「おぉ原田!!お前最高!」
「へへー!……でさ、千ちゃん」
『決めた』ってのはこのことだったんですか……。
と胸を撫で下ろす。
「もう一人のやつ、俺が決めていい?」
そんな言葉にわたしはなんの興味も持たなかった。
ただ、この人も香葉みたいだなーと尊敬していただけ。
それだけだったのに………
原田くんは立ち上がって、グイッとわたしの手を引いたんだ。
容赦ない力に引き上げられて自然に腰が椅子から浮いた。
「へっ?」
気づいたときにはもう……
「じゃあ、斎藤を指名するわ」
――――遅かった。