この窓を飛び越えて…
「斎藤、やってくれるか?!」
「えっ…えっ?」
状況なんて理解できるわけがなく、
また理解しようともせず…
わたしは逃げ道を探す。
それでも刺さるのは、
千田先生の期待の眼差しに、
香葉の嬉しそうな顔。
そして―――
原田くんの視線。
全てが全て、何かが伝わるようにヒシヒシと感じる。
不意に窓を見るけど、開いてはいない。
まぁ、開いていたところでどうにもならないだろうけれど…。
「あの…っ、わたしは……」
人前で立つことだって苦手ですし、
第一自分の意見が上手く言えないんです。
そんなわたしが…できるんでしょうか?
実行委員なんて…このわたしが…
「…できるわけが…「斎藤」
途中で呼ばれる。
声の主、原田くんを見て申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「できるできないの問題じゃねぇんだよ」
「………っ」
「やるかやらねぇかだ」
そう聞かれると、また何も言えない。
やりたいのかと聞かれても、答えられないから。
いきなりの選択に戸惑いを隠せずうろたえた。
やりたくないわけじゃないんです。
だけど、やりたい!って強い意思があるわけでもないの。