この窓を飛び越えて…
今のこのわたしの気持ちを素直に言えたら、何て楽なんでしょうか。
でも、この言葉を聞いたみんなの反応を考えると…
曖昧なこの意見は、あまりいいものではないはずです。
「ねぇ…、やってみたら?」
「え…?」
突然聞こえた声は後ろからだった。
振り向いた先にいるのは、綺歩[きほ]ちゃん。
「莉桜なら、できると思うよ?」
「綺歩ちゃん…」
「責任感だってあるし、頭だって良いし…きっと、莉桜にとってもいい思い出になるはずだよ」
わたしに………とっても――――
「斎藤、周りのことなんかそんな考えるなよ。お前はお前なんだからさ、自分に素直になれ」
心臓が、また大きく動いた。
その途端、手の平を返したように気持ちが変わった。
でも、やっぱり上手くできるかわからないのが心配で……
「……あの………わたし……」
綺歩ちゃんが言ったことも、原田くんが言ったことも。
今のわたしにはすごく信憑性があって…
それこそ、取り付かれたように胸の奥でこだましている。
「…………やり……たい…………です」