この窓を飛び越えて…



今のこのわたしの気持ちを素直に言えたら、何て楽なんでしょうか。

でも、この言葉を聞いたみんなの反応を考えると…
曖昧なこの意見は、あまりいいものではないはずです。




「ねぇ…、やってみたら?」

「え…?」


突然聞こえた声は後ろからだった。

振り向いた先にいるのは、綺歩[きほ]ちゃん。



「莉桜なら、できると思うよ?」

「綺歩ちゃん…」

「責任感だってあるし、頭だって良いし…きっと、莉桜にとってもいい思い出になるはずだよ」




わたしに………とっても――――




「斎藤、周りのことなんかそんな考えるなよ。お前はお前なんだからさ、自分に素直になれ」



心臓が、また大きく動いた。

その途端、手の平を返したように気持ちが変わった。



でも、やっぱり上手くできるかわからないのが心配で……



「……あの………わたし……」



綺歩ちゃんが言ったことも、原田くんが言ったことも。

今のわたしにはすごく信憑性があって…
それこそ、取り付かれたように胸の奥でこだましている。



「…………やり……たい…………です」




< 12 / 63 >

この作品をシェア

pagetop