この窓を飛び越えて…
ぽつりと、落ちるように出た。
手を前に組んで、祈るように声にした。
たった六文字なのに時間がかかったが、これが精一杯。
でもわたしの言葉に、原田くんは笑った。
「千ちゃーん、斎藤やるってさー」
「そうか!!斎藤、先生はこの上なく嬉しいぞ〜」
みんなが拍手をしている。
その理由はわからなかったけど、安堵のため息をついて座った。
綺歩ちゃんが肩を叩いく。
「頑張れ。フォローするからね」
わたしは微笑んで強く頷いた。
温かい言葉に、優しい言葉。
どれもがわたしを包み込む。
上機嫌なまま、窓を開ける。
青空の中にしっかりとピントを合わせた。
“窓辺の人”を見つけるのには一秒もかかんない。
いつものようにぼやけずに映った瞬間、
わたしの心は跳ね上がる。
また、…………目があったから。
この前目があったのが初めてだったのに…。
二度目にお目にかかれるのが想像以上に早すぎる。
だって目があうということは、相手もわたしを見ているってことで――――
そう考えると恥ずかしくて堪らなかった。
“窓辺の人”は、フッと頬を綻ばせた。
そんな微笑む顔を見るのも初めて。
あんな表情もするんですね……
嬉しくて、嬉しくて……神秘な気持ちでいっぱいだ。
わたしにはもったいないくらいにまで感じてしまう。