この窓を飛び越えて…
「どうしたの?!莉桜が進んでやるなんてっ」
「えっ、進んでやったわけじゃ…」
言いかけて気がついた。
わたしと原田くんと綺歩ちゃんの会話は、香葉の席まで聞こえるわけがないってことに。
「…香葉…」
「んー?」
大きい瞳をわたしに向ける。
「……わたしが、こういうふうに何かに参加するのって、嬉しい?」
「うん!」
躊躇いもなく答えた香葉。
それを聞いてホッとする。
香葉はたぶん、『原田くんたちに言われてやった』ということより、
『わたしからやったんだ』と思ったほうが嬉しよね。
「そっか」
それなら良い。
わたしは自分よりも香葉の方が大事だから。
香葉が嬉しいことなら進んでやる。
「あのさ、莉桜ってさ…」
わたしは香葉を悲しめたくなんかない。
「好きな人、できたの?」
例えそれが、
わたし自身の、小さな秘密を崩すことになっても……