この窓を飛び越えて…
香葉は、怒らないですよね……?
そんな望みを持って、恐る恐る口を開いた。
「……あの…」
「言ってみなさい!お姉ちゃんがドンと受け止めるわ!」
香葉はそう言って胸を叩いた。
そんな様子にわたしは笑顔になる。
ちゃんと言います……
秘密は、なしっこだから…。
「香葉、ずっと隠しててごめんなさい」
「……ってことはー?」
「……………」
「います」とは言えなかった。
ただ小さく頷いただけ。
それでも香葉は最高の笑顔を浮かべて、わたしに抱き着く。
すぐに慣れた温もりが伝わった。
「やだー!もう言うの遅すぎよっ」
「ごめんなさい…」
「で、誰?誰が初恋なの?」
そう聞かれて、わたしはまた口を閉じた。
実は、これを聞かれるのも嫌だった。
………名前も知らない人を好き。
それがこの先どれだけ未来がないのかを表している。
だから自分で言うのも気が引けちゃうんだ。
「莉桜?」
まったく話そうとしないわたしに、香葉が首を傾げた。
「どうしたの?教えてよ」
「あ、あのね香葉……」