この窓を飛び越えて…
麗奈ちゃんはにこりと笑った。
わたしはポカンと口を開けることしかできなくて…
麗奈ちゃんの補足の言葉を待つ。
だけど委員会が始まったことで話せなくなり、結局麗奈ちゃんはこの話題に触れなかった。
「今年は十雪高校の創立20周年記念の年です」
そんな先生の言葉に誰もが「へぇ〜」と反応する。
わたしだって例外じゃなく、麗奈ちゃんと顔を見合わせていた。
「そして十雪が20周年なら、同じく九雪も20周年」
先生は窓を向いて、隣にそびえ立つ九雪の校舎を見た。
「……と、いうわけで…今年は例年とは違う文化祭にします」
なぜか先生と目があって、その異様なほどの笑みに背筋を伸ばす。
“例年とは違う文化祭”の言葉に、ニ・三年生はざわついた。
そんな雰囲気を待っていたかのように先生は大声を張り上げて衝撃的な言葉を口にする。
「今年の文化祭は、九雪と一緒作り上げます!!」
―――――えっ?
周りの空気とは別に、しーんと静まるわたし。
呪いをかけられたように体は動かなくて…
機械になったみたいだ。
『九雪と、一緒に……』
それは単なるサプライズの言葉では収まり切らない。
わたしには願ってもないことで…