この窓を飛び越えて…
頭にはしっかり“窓辺の人”が浮かぶ。
じゃあ、何…
あの人に、会えるかもしれないってことですか??
「莉桜?」
麗奈ちゃんに心配されるくらいわたしの顔は輝いていたらしい。
麗奈ちゃんの綺麗な手はわたしの前で上下に揺れる。
それにハッとして瞬きを繰り返す。
「…え…っと?」
「どうしたの?九雪との文化祭嬉しい?」
「あっ…う、うん」
「知り合いがいるの?」
「そ、そういうわけじゃないんだ…楽しそうだなーって思って」
一瞬顔をしかめた麗奈ちゃんだったが、次の瞬間にはもう笑顔で
「そうだね」
と言ってくれた。
「次回の委員会は、九雪でやるので。集合時間には遅れないように」
委員会はその言葉で締めくくられた。
今日の話し合いは顔合わせみたいなもので、正式な会議は次回やるらしい。
「あ、それと九雪とやるということはまだ他には言わないでくれ」
先生は気づいた言葉を慌てて言う。
「ばれたら一たまりもないからな」
その苦笑いで場の雰囲気はもっと明るくなる。
確かに、十雪にとって九雪は近いようで遠い存在。
十雪の方が女子は多く、九雪はやっぱり男子が多い。
そうなると、十雪の女子には絶好の文化祭になるのだろう。