この窓を飛び越えて…
それはわたしにとっても同じ。
こんなこと、味わえるとは思ってもなかった。
緑色の葉はとっくに落ちてしまった。
今見えるのは赤や黄色の葉ばかり。
神無月ももう終わり。
秋は足早に冬へと向かっていて…
わたしは置いてかれそうなのが少し不安。
周りはみんな、高校生活を楽しんでいる。
入学当初、中学とは違う雰囲気の波が寄せて引いてを繰り返していたのに、
それは今ではもう慣れてしまった。
当たり前がどんどん増えていく日常。
新しい発見もすぐに飲み込まれてしまう。
それでも――――
あなただけは……
わたしにとって、あなただけは…、
いつまでも初々しくて、
いつまでも輝いていて、
いつまでも、わたしを笑顔にしてくれた。
――――――幸せに、してくれたんです…。
だから、今度は交代なんだ。
名前も知らない相手だけど、
わたしもあなたを笑顔にしたい。
話すことはもう絶対にないかもしれないれど、
あなたにわたしを見てほしい。
視界に映るだけで良くて、
あなたの記憶のどこかに少しでも存在できているだけで良い。
遠くて、遠くて。
遠すぎて…
手も、足も、声も、想いも届かないけれど、
わたしはあなただけを見つめている。
神様が、そんなわたしを見て褒めてくれたのかもしれないけれど…
この日から、恋はゆっくり動き出していく…