この窓を飛び越えて…
いざ、九雪へ
*。゚+。*゚。+。*。いざ、九雪へ。*。+。゚*。+゚。*
部屋に入ると、香葉はわたしのベッドに座っていた。
持ってきたお菓子と飲み物を机に置いて、香葉の目の前の椅子に腰掛ける。
「どうしたの?」
香葉がアポなしで家に来たのは数分前。
『どうしたの?』なんて聞くけど、本当は理由が読めてる。
「どうしたのって…今日こそは教えてもらうよ!」
ズイッと乗り出され、わたしは体を引いた。
「二日待ったからね?二日!質問もちゃんと考えてきたんだから、嘘つかずに答えなさい!」
「は、はい…っ」
今日は土曜日。
せっかくの休日なのに、これだけのために家まで押しかけてくるのには香葉がよく表れている。
あまりの威圧に圧され、背筋を伸ばしたわたしに対し、香葉は微笑んでミルクティーを口につけた。
一息ついてからまたわたしを見つめる。
「いくよ、莉桜」
「うん…」
意気込む香葉に抵抗する気なんて湧くわけがなく、わたしは素直に頷いた。
「好きな人がいるんですよね?」
「……はい」
「いつ頃からですか?」
「…席替えした辺りから…」
「うちのクラスですか?」
「違います」
なぜか敬語で進められるのだが、そこには最後まで誰も触れなかった。
「うちの学年ですか?」
「違います」
同じように首を振ると、香葉の顔はパアッと輝く。
何か、興味を引いたみたい。