この窓を飛び越えて…
心臓に、心に、体に。
グッと押し付けられたような感覚。
喉の奥がチリチリして熱い。
鼻の先がツンとして、目元に涙が溜まった。
「香葉……!!」
もって早く相談しておけば良かったと、今心から思う。
不安ってものが全部掻き出されていく。
その勢いで香葉に抱き着いたわたしを、優しく撫でてくれた。
「…今までっ…黙っててごめんなさい…っ」
「…………」
「相談、出来なくて…っ…ごめんなさい…」
「莉桜」
「ありがとう…っ…香葉、ありがとう…」
こんなものじゃ足りなかった。
もっともっと、言わなきゃならない。
だけどこれ以外に表せなくて、わたしは仕方なく香葉を抱きしめる力を強くするばかりだ。
「莉桜、あたしもね、莉桜の役に立てて嬉しいよ?」
「えっ?」
「話してくれてありがとう、莉桜」
時々思う。
どうして女性が女性を好きなってはおかしいのかと。
わたしの理想の彼氏像は、紛れもなく香葉なのに…
これもある意味叶わない想いなのかもしれない。
「あのね、今年の文化祭は九雪と一緒にやるんだって」
「そうなの?!」
「うん。まだ実行委員しか知らないことだから口外はしないでね?」
香葉は大きく頷いたけれど、輝いた顔つきだった。
「それで、今度九雪に行くの」
「えぇっ?!」
そんな反応に、今回はわたしがクスクスと笑う。