この窓を飛び越えて…



だけど、そんなわけにはいかないんですか…?



わたしは目を丸くして、息をのんだ。


「莉桜、幸せはもらうだけじゃダメなんだよ?自分で掴みにいくの」


香葉が拳を作った。
それをわたしの胸に軽く当てる。


「莉桜が動かなきゃ、何も変わらないよ。この恋は」


その拳をもう一度わたしの胸に当てた。
それと同時に、ドクンと心臓が動く。

頭の中には“窓辺の人”が映った。



微笑んだその顔に、会いたい……。



「莉桜」


香葉の柔らかな声で、その気持ちが高ぶる。


―――わたしじゃ、何もできない……。

そんなこと、一体誰が決めたんだろう。
犯人は、世間でもない。わたし。

でもそれは、間違ってたのかもしれない。

自分でそう思っていたから、そんな自分になってしまった。
―――そう思いたい。



「…ねぇ…香葉」

「ん?」

「そうしたら、わたし、変われる?」

「何?いきなり…」

「あの人に…会えたら、わたしが、その人を見つけられたら…」


“窓辺の人”の目に、……もう一度だけ、わたしが映れたなら…



「この恋の結末も、わたしも…変われるかな?」




ねぇ香葉……。


今まで勇気なんて全然使わなくて、存在するだけだった。

でも、今なら使おうと思う。

わたし、頑張れるよ。




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