この窓を飛び越えて…


――――――――

白い校舎には、校門を出て数秒でついてしまった。

麗奈ちゃんが「やっぱり近いね」と頷く。

中はほとんど十雪と変わらない。
人間だけ入れ代わったような景色だ。

踏み入れるのにドキドキしたことは、誰にも言えない秘密だけど。


「莉桜、こっちだよ?」

「あ、うん」


駆け寄った先には、『会議室』と書かれたパネルがある。

先生が先頭に立って、部屋を開けた。
少し古めかしい音を立てたあと、中から様々な声が聞こえる。


「こんにちはー」

「お邪魔します」


挨拶らしきものを一人一人言いながら中へ入って行った。

列の最後尾にいるわたしたちが入った頃には、会議室が狭く見える。


「あ!麗奈!」


突然、わたしの目の前にいる麗奈ちゃんに声がかかる。

茶髪の髪の毛を揺らした女の子が飛び出てきた。


「久しぶり〜!」


再会を分かち合うように話し始めれば、わたしの居場所なんか消えていた。

顎を引いて、会話が終わるのを待っていた。

―――トントンッ―――

急に肩を叩かれ、わたしの体は少しばかり固まる。


「え…?」


振り向いて分かったが、肩を叩いたのは原田くんだった。


「クラスごとに座るんだってよ」

「あ…はい」


原田くんは1−Bの隣の机も叩く。
ここだ、という合図に、わたしも駆け寄った。

席に着いて、周りを見渡す。


知らない人の頭が視界を彩っていたときだった―――――







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