この窓を飛び越えて…
「…一年C組……土井一翔」
一年C組……
ツチイ イチト――――
ぶっきらぼうに言い放った彼は、同い年だった。クラスも一緒…。
ツチイ君……。
どういう字を書くのかは知らないけれど、きっと素敵な字なんだと思う。
「一年C組、原田啓助[けいすけ]です」
隣から声が聞こえて、慌てて我に返った。
思った通り、わたしの番。
「…一年C組…斎藤莉桜です…」
一礼をしてから席についた。
それから先生の話が始まるけど…
耳には何も入らなかった。
「斎藤、具合悪い?」
原田くんに覗きこまれ、また我に返る。
こんなのじゃダメなのに…
そうは分かっているけど、体は反応しない。
「斎藤?」
また名前を呼ばれ、さすがに頬を叩いた。
これが効いたのか、それからは集中できた。
次は十雪で開かれるらしく、香葉にも見せられる可能性がでてきた。
とりあえず、日にちと場所など基本的なことが決定された。
あと一ヶ月以上あるのだが、きっとそんな時間も短く感じるのだろう。
「では、これで終わります」
新たに決まった二人の実行委員長の言葉で、緊迫感のあった空気は解放されたのだった。