この窓を飛び越えて…



て、いうか……
『………またな』って、何…?

それは、また会えるっていう意味なのでしょうか。
もし、もしそうだとしたら――


自惚れた妄想ばかりが膨らむ。

“窓辺の人”はわたしを知っていてくれた?
わたしとこの後の会議で会えることを分かっていた?

――わたしを、覚えていてくれたのですか?



信じていいかなんて、分からない。

所詮これも妄想。わたしの考えでしかない。
何の証拠もない。


それなのに――
どうして、こんなに嬉しくなっちゃうんだろう…。

違うかもしれない。
だけど、だけど……




「…いち…と……くん」




一度だけ、


名前を呼びたくなるくらいに―――





愛しくなる………。




触れたい、触りたい。

話したい、声を聞きたい。



カラカラの心に、水という名の愛が欲しい。




それだけじゃない。

もっと、もっと……。


あなたを知りたい。

あなたと“あの人”が重なって離れない。






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