この窓を飛び越えて…
「莉桜ーって、あれ、香葉もいるじゃん」
茶色の髪の毛を揺らしながら、麗奈ちゃんはわたしの隣に並んだ。
返事もせず、ただ会議室を眺めているだけに見える香葉。
麗奈ちゃんはその香葉をジーッと眺めた後で、わたしに視線を移した。
「ねぇ、香葉何してんの?」
「えっ…」
聞かれるかもしれない。
そんなことは頭にあったが、対処法まで考えている時間がなかった。
口をだらし無く開けたまま、頭をフル回転させていく。
どうしよう…。
本当のことは、言いたくないのですが…。
でもここは仕方がないのかもしれない。
そんな考えが浮かんできて、わたしは一度口を閉じた。
麗奈ちゃんになら…言ってみようかな…。
そんな間にも、麗奈ちゃんは首を傾げて大きな瞳でわたしを見つめる。
「あ…のね、麗奈ちゃん」
「ん?」
「実は…香葉は、わ…わたしの―――「ちょっと、莉桜!どれよ!」
真剣なわたしに、香葉の興奮しきった声が覆いかぶさった。