この窓を飛び越えて…
肩を一度震わせてから、わたしは慌てて振り返る。
そこには、顔を少し赤くして、必死さが滲み出ている香葉のがわたしを見つめてた。
「どれ?一体どいつのことなの?」
「え…あ、えっと…」
あまりの迫力にわたしは上手く口が回らない。
香葉にこんな風な感じになってしまったことなんて久しぶり。
と、そこに救世主、麗奈ちゃんの登場。
「香葉?誰探してるの?」
その声で香葉はやっと冷静になってくれた。
わたしは小さくホッとため息をつく。
麗奈ちゃんはわたしの前を通って香葉の隣に並び部屋の中を覗く。
「香葉の知り合いもいるの?それともイケメン探し?」
香葉はわたしの方に視線を移した。
何て言えばいいのか困っているみたい。
わたしはそんな香葉に少し苦笑いになりながらも頷いた。
香葉ならこれだけで分かってくれる。
―――言ってもいいよ―――
この合図を。