この窓を飛び越えて…
わたしの予想通り、香葉は申し訳なさそうに眉を潜めた。
そして麗奈ちゃんに向き直る。
「実は…莉桜の好きな人を探してて…」
香葉には珍しい、小さい小さい声。
それでも麗奈ちゃんには伝わっていて、目を見開いてわたしに振り向いた。
「嘘っ…!一目惚れ?!」
麗奈ちゃんも小さい声で喋ってくれる。
「違うらしいよ。ま、詳しいことは後で莉桜に聞いて」
そう言って香葉は扉から離れた。
「じゃああたしは先に帰るね。…莉桜」
「ん?」
「ごめんね…」
本当に心配している顔で、謝る香葉。
「全然大丈夫だよ。わたしも言おうとしてたもの」
「ほんと?それなら少し安心するけど…」
「本当に気にしてないよ?」
「うん。分かった。ありがとう」
嬉しそうに笑う香葉に、わたしも微笑んだ。
香葉が踵を返すと同時に、わたしも麗奈ちゃんの隣に並んで教室に入る。