この窓を飛び越えて…



今日はクラスごとではなく、自由席でいいみたい。

わたしは麗奈ちゃんの隣に座って、ふぅと一息をついた。

なんか嵐が去ったようで、これからは比較的落ち着いた空間が訪れるはず。

だけど…


「………;」


目だけで隣を確認する。

そこには、わたしをキラキラした目で見つめる麗奈ちゃん。

あまりの目力に、わたしはその視線を体の側面で受けることに精一杯。

話しかけてこないのは、わたしからその話題を切り出すことを望んでいるからだろう。
チラチラと周りを時々見渡す。


ついに堪えられなくなり、わたしは体ごと動かして麗奈ちゃんと向き合った。

「待ってました!」の表情で輝かしく目を開くその姿に、思わず苦笑い。


「…りーおちゃん」

「はぁ…話しますよ…」


飛び出す可愛い声にわたしはため息をつきながら答える。


「やった!…で、誰だれ?」

「あの人…イチトさん…」


いつもより、もっともっと小さくした声で。

わたしは麗奈ちゃんでなく、“窓辺の彼”を見た。



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