恋愛偏差値0



父の言うことを聞くのは嫌。


でも梓くんが傷つくのは1番嫌だから、幸せになってほしいから。


もういいから…。




「俺は」


あたしの体を静かに押さえて、梓くんが口を開いた。




「綾香さんが、あなたのために自分の気持ちをおさえて苦しそうで…そんな姿を見てきました」



ぴんと背筋を伸ばした姿。


そんな梓くんが、好きなんだ。




「俺が弱いせいで、綾香は俺に相談してくれなくて、そんな自分が嫌になります。…けど、俺は綾香さんが好きです。愛しています。それだけは、負けません」



好きな気持ちだけじゃなにもならないって知ってる。


でも梓くんとならその気持ちも乗り越えていける気がするの。




「……」



「もういいじゃありませんか?」


お父さまが口を開いた。



あたしの父がやっと存在に気づき、お父さまにぺこぺこおじぎをした。



これが上下関係。

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