恋愛偏差値0
あのときは自分の気持ちがわからなくて、とにかくもやもやしてた。
あたしがこんなに悩んでいるのに――、伸はどうしてキスをしているのかッ!
ズキンと胸が痛んだ。
胸が痛いのは、伸先輩なんかとあんなにキレイな綾香さんが付き合っているのが嫌だ、と思いこませていた。
伸先輩が好きだなんて、信じたくなかった。
「もう好きだったの?」
「あのときは、まだわかりませんでした」
「?」
「伸が好きなのか…って。あたしは、綾香さんと伸が付き合っているって聞いていましたから」
「梓くんに…か」
綾香さんはさみしそうにまつげをふせた。
そっか。
今思えばいちおう、梓先輩とあたしは両思いだったんだ…。
綾香さんの気持ちにまだ気づいてなかったから…。
「でも、これでよかったと思ってますよ」
「そりゃそうよ」
綾香さんはにっこり。
ちょっと今…寒気がしました。