恋愛偏差値0
あたしは白濁色のお湯に深くつかった。
ぶくぶくぶくと息をはきだす。
「でもね、ほんとうに柚菜ちゃんが伸を好きになってよかった」
今度は心からのにっこり。
ほっとしたような気持ちも含まれていたような気がする。
「そうじゃなかったら、あたしと梓くんは…、伸と柚菜ちゃんはこうはなってなかったもの」
「はい…」
泣きたいような気持ちになった。
思えば、なんてことない出会い。
それが今につながっていたんだと、大切な出会いだったと実感できる。
もし、あたしが伸に助けられてなかったら?
梓先輩に恋してなかったら?
こんなふうにはなってなかった。
あたしが自称恋愛テクニシャンじゃなかったら、こんなすてきな恋はできなかった。
好きになんてなってなくて、なにげなくすれちがう程度だったかもしれない。
部内恋愛でも先輩でもあきらめなかったから、伸と両思いになれた。
結婚…できた。
「えっ、柚菜ちゃん!泣いてるの?!」