恋愛偏差値0
綾香さんに言われて気づいた。
お湯なのかわかりにくいけれど、涙が出てた。
「ごめんね。どうしちゃったのかしら…」
「いえ…、ほんとうによかったなって」
おろおろとしていた綾香さんが止まって、にっこり。
となりからあたしの体を抱きしめた。
「柚菜ちゃんかわいいっ!あたし柚菜ちゃんとも親友になれてよかった~!!」
「親友?」
「親友だわ」
親友、か。
あたしも親友の綾香さんに抱きつき返した。
「ありがとうございます~」
「うふふふ」
ほんとうによかった。
ほんとうにうれしい。
「…じゃ、あたしそろそろ。出る?」
「いえ、まだ」
「ゆっくりね」
あたしは綾香さんの細い背中を見つめた。
あったかい気持ちで、あたしはまだお湯につかっていた。