永遠の花ことば*完結*
第1章 身分違いの恋人
むかしむかし、
ずーっとむかしに、
一人のお姫様がいました。
そのお姫様は王子様ではなく、
普通の男の子の事が好きでした。
もちろん、その時代にそんな恋心はゆるされておりません。
しかしお姫様はその男の子以外を好きになることはできませんでした。
お姫様には許婚(いいなずけ)がおりました。
それは隣の国の王子様。
お姫様の結婚相手にふさわしい相手でした。
王子様はお姫様の事が好きでした。
何度も何度も、お姫様をお嫁にもらおうと頑張りました。
しかしお姫様はやっぱり男の子の事が好きだったのです。
男の子もまた、お姫様の事が好きでした。
結ばれることはないとわかっていても。
ときどきしか会えなくても。
男の子とお姫様はどうしようもなくお互いが好きでした。
この幸せがずっと続けばいいのに。
それがお姫様の願いであり、
男の子の願いでもありました----……
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