永遠の花ことば*完結*
ザッと草をかき分ける足音がして、
シルクが起き上がるよりも先に。
「…シル、ク…、?」
1年ぶりに聞いた、
忘れることのないあの愛しい声が聞こえた。
その声に目を見開き、
バッと起き上がると、
あふれた涙は愛しい人の指によってすくいとられた。
-----…
16の誕生日の丁度1週間前。
約束の日。
シルクは一人、グーワナ王国を訪れていた。
馬にまたがるその姿は、
豪奢な衣装に身を包み、
そしてたくさんの飾りを身に付けた、
立派な王の姿だった。
グーワナ城に入る時、
シルクを見た兵は目を見開いた。
王らしい、とても強い瞳をしている女王は、
しっかり先を見定め、しっかりと地に足をつけていた。
しかしそれは、
まだ顔に幼さが残る普通の少女そのものだったから。