永遠の花ことば*完結*
「まさかシルクから来てくれるなんて。」
アスリはもうすぐフィルミスクに出発するところだったらしく、
外着に着替えていた途中だった。
「服くらいちゃんと着てから出てきて頂戴。」
シルクは少し赤く染まった頬をぷくりと膨らまし、
そっぽを向いた。
そんなシルクの様子が気に入ったのか、
アスリはハハッと笑うと、
早々と着替えを済まし、シルクを部屋へ招き入れた。
「それで、アスリ、私、今日は…」
シルクは先ほどの強気な態度とは一変し、
うつむき加減に、肩が少し上がった様子でアスリに話しかけた。
「え、あ、っと。
シルク、先にお茶でも飲まないか?」
しかしアスリは少し慌てたように、
部屋の前にいる宮女にお茶を頼んだ。
シルクはアスリが慌てていることを不思議と思ったが、
アスリの方は答えを聞くのが少し怖かった。
焦るのは当たり前の事だった。
強がっていても、アスリだってシルクを真剣に好きなんだ。
それはシルクもきちんとわかっていることだったが。