永遠の花ことば*完結*
シルクの頭の中は戦争の事でいっぱいだった。
もういっそリヴが好きだからという理由で兵を出してしまいたくなるほど。
「シルク様、失礼いたします。
少し、体のご様子を見させてもらってもよろしいですか?」
専属医の優しい雰囲気を纏う年配の女医。
幼い時から知っているその医者の表情は、いつもと変わりなかった。
シルクのお腹に手を添え、
専門の機器でシルクのお腹の音を聞いていた医者。
しばらく音を聞くと、
柔らかい笑みを浮かべてお腹から手を離した。
そして、
「シルク様、貴女はご妊娠なさっています。
体を大事に、心も落ちつけて。
無理はしないようにしてください。」
そう言った医者は妊娠に驚くこともせず、
そして誰の子供なのかも聞かず、
おだいじに、というと部屋から出て行った。
シルクが幼い時から観てもらっているあの医師は、
体調を壊したとき、
何気なく心の状態にも気付き、そして気遣ってくれる。
そんな優しい医者の気遣いは、
今のシルクの心にとってはいい薬だった。