永遠の花ことば*完結*
アスリはウィリアムよりも先にフィルミスクへ行くため、
一人で馬に跨った。
そしてかなりのスピードを出し、国境を越えた。
「早くついてくれ…」
アスリは全身に風を受けながら、
小さな声でつぶやいた。
シルクに、自分では力が及ばなかったことを話さなければいけない。
自分がどうにかすると言ったのに、
どうにもできなかった。
その悔しさ。
そして、
大切なシルクの大切な人を守りたいと思う気持ち。
…リヴと、ちゃんと勝負をしてシルクの気持ちを自分にふり向かせたい。
今リヴが戦争に行ってしまったら。
今リヴが死地に向かってしまったら。
きちんと勝負をすることができない。
シルクの笑顔を見ることができない。
この何年間か、シルクのそばにいて、
シルクがどれほど辛い思いをしてきたかがわかった。
これ以上、シルクに傷ついてほしくなかった。