永遠の花ことば*完結*




不思議と涙なんか出なかった。


母になる前に。

涙というものはすべて流しきった。



「必ず…生きて、私のもとへ還ってくると……!!」



床をダンと叩きつけ、

こらえられなくなったものをその場にまき散らす。


シルクが思い切り床を叩く音で驚いたユンリがアスリの部屋に入ると、


アスリは顔を涙でぐちゃぐちゃにしていた。

そしてシルクはその場で気を失い、倒れていた。


ユンリがシルクの体を起こすと、その大きな瞳が開かれた。



「戦争なんかもう嫌!!!

今すぐにやめなさい!


…私から大切なものを、もう奪わないで…。」



シルクは何も考えられなくなった頭で、

無理やりに体を動かし、


ユンリにしがみついた。



きっとグーワナ王国の民も、

ダイオス王国の民も。


戦争に巻き込まれた者すべてがこうなっているだろう。




その5日後、戦争は終わった。





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