永遠の花ことば*完結*




ダイオスとグーワナの戦争が終わり1週間。

周りの国の援助もあり、両国は平穏を取り戻しつつあった。



フィルミスクの国王シルクはまたもグーワナを訪れていた。

しかしその行く先には小さな木の家。

生涯でただ一人愛したリヴの家だ。



「この家に来るのは、もう最後かもしれないわね。」



自分のただ一人の、最初で最後の子供を抱え、

シルクは扉の前に立った。



子供ができたとリヴに明かした時、

リヴは自分の子供にエスポワールと名付けた。


その意味は希望。


リヴが死んでしまった今でも、

エスポワールがいる限りシルクは心に希望を持っていられた。



シルクは従者達に城に戻るよう指示した。

少し戸惑い、そしてゆっくりと従者たちは城のほうへと向かった。



エスポワールと2人になったシルクは大きく深呼吸をした。


そして懐かしさや悲しさ、

寂しさや思い出があふれた。


涙がこぼれおちそうになるのをぐっとこらえた。




今涙をこぼしても、もうぬぐってくれる人はいないのだ。




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