永遠の花ことば*完結*
置いていくことなど、リヴにはできなかった。
春で暖かいと言っても、さすがに夜は冷え込む。
暗くなりかけていた空。
このままこの場所にほかっておく事はできない。
リヴはしぶしぶシルクの手を握ると、そのまま何も言わずに歩きだした。
「リヴ…」
何も言わず、こちらを見ようともしないリヴを見て、シルクは思った。
---…やさしいんだ。
国境から少し歩き、空には星がまばらに見えだしたころ。
山の中にある家についた。
町から少し登ったところにある、隠れ家のような家だった。
リヴはその家の扉を開け、やっとシルクのほうを見た。
ここに来る間、目も合わず、一言も会話を交わさなかった。
シルクとしては少し気まずかったが、なんと話しかければよいのかもわからず、ただ押し黙っていた。
「ただいま、兄ちゃん。」
シルクの手を握ったまま、リヴは料理を作っていた一人の男にそう言った。